ご挨拶、事業、講座の目的

ご挨拶

 我が国は未曾有の高齢社会となりました。これに伴いunmet medical needsの顕在化も指摘されています。国民と国家の活力を維持し発展させるためには、健康寿命の伸長が喫緊の課題です。そのためには、認知症、運動器疾患、呼吸循環器疾患等の加齢に特有でQOLを著しく低下させる疾患の画期的治療法の開発が求められています。一方、我が国の医学研究は世界を先導する成果を挙げてきましたが、研究成果の実用化例はきわめて乏しく、医療産業の貿易赤字の一因ともなっています。

 現在の大学の使命として研究を通した社会貢献が強く求められており、その達成なくしては大学の存在意義はないに等しいと考えられます。
医学研究の成果を実用化に結びつけるために、国主導の下に「橋渡し研究拠点事業」や「臨床研究中核病院事業」が推進され、一定の成果を挙げてまいりましたが、人材育成という点ではけっして十分ではありません。メディカルイノベーションに必須の「基礎研究―橋渡し研究―臨床研究―実用化」の一連の流れを将来に向けて絶えることなく推進し、新しい学問領域として確立するためには、これを担う優秀な人材の育成が不可欠であると考えられます。

 すなわち、熾烈な国際競争のさなかにあるメディカルイノベーションの全体像を俯瞰する広い視野を有し、かつ発明の実用化・健康寿命伸長への貢献といった具体的目標達成に向けた強い意志と行動力を有する人材を育成する必要です。
そのためには、大学間連携により教育人材の不足を補うこと、実習の強化、国際的視野で教育できる外国人教員の確保が必要と考えられます。

 この使命を果たすために、九州大学大学院医学研究院・次世代医療開発講座では、アジアの表玄関における4大学(九州大学、福岡大学、久留米大学、産業医科大学)双方向性教育連携体制の下、 メディカルイノベーションに強い志を有し、推進し、国際競争に勝ち抜く人材の育成を積極的に行ってまいります。その成果を明日の医療へ結びつけるために、皆様とともに考えながら、歩みを進めて行きたいと思っています。人材育成についてのご質問、ご意見を是非お寄せ下さい。

事業責任者
医学研究院 臨床医学部門 呼吸器内科分野 教授
ARO次世代医療センター センター長
中西 洋一